2026/10/9

【イベントレポート】「働きたい島」は、何を変えればつくれる? “本音の山”を整理して見えてきたこと

こんにちは!あまみの人事部の矢吹です。

8月20日(木)に開催した「あまみの人事部 学びBAR」では、「奄美で働く魅力って? “働きたい島”にするには。」をテーマに、奄美で暮らし、働くみなさんのリアルな本音を聞くワークショップを行いました。
(前回のイベントレポートはこちら)

そこで出てきたのは、私たちの想像をはるかに超える数の声。

「自然が近い」「人との距離が近い」といった魅力がある一方で、「給与が低い」「仕事の選択肢が少ない」「人間関係が狭い」といった不安や課題も、たくさん寄せられました。

前回の記事では、「条件」「関係」「役割」「意味」という4つの軸で、集まった声をご紹介しました。
でも、私たちが本当に知りたかったのは、奄美で働くことの「良いところ・悪いところ」だけではありません。

大切なのは、その先です。

「この会社で、この島で働きたい」と思ってもらうために、私たちは何を変えられるのか。企業にできることは何か。一社では難しくても、地域ならできることはないか。

そこで今回は、この“本音の山”を、私たち自身の手で整理してみることにしました。
一緒に向き合ってくださったのは、前回のワークショップでファシリテーターを務めていただいた、LUDENS代表の井上征一郎さんです。井上さんとあまみの人事部メンバーで、集まった声を一枚一枚見返していきました。

まずは、「奄美で働くことの魅力」と「働くうえで感じる不安や課題」を整理。
それだけで終わらせず、ひとつひとつの声から見えてくることを考え、「企業としてできることは?」「地域だからできることは?」と、具体的なアクションにつながるところまで掘り下げました。

すると、「良いところ・悪いところ」を並べていただけでは見えなかった、奄美で「働きたい」をつくるためのヒントが、少しずつ見えてきました。今回は、その中身をご紹介します。

① 条件|「給与」だけで考えない、奄美で働く条件

まずは「条件」。
ここには、給与、物価、住居、交通、福利厚生、仕事の選択肢など、たくさんの声が集まりました。

やはり、ネガティブな声も少なくありません。
「お給料が都市と比べると高くはない、家賃も高い」。都市部と比べれば給与水準は低く、職種や会社の選択肢も限られます。物価や交通、住居など、島ならではの負担もある。ここは、きれいごとだけでは語れない部分です。

一方で、「条件」の中には違う種類の声もありました。
「満員電車がない!」
「自宅と職場が近く、ON/OFFがつけやすい」
「通勤の負担が少ない」
「自然がすぐそばにある」
「仕事と暮らしの距離が近い」
「時間の使い方に自由がある」

こうした声に目を向けると、ひとつの問いが浮かびます。 働く「条件」とは、本当に給与だけなのでしょうか。

もちろん給与は大切です。でも、収入・時間・働き方・住環境・通勤・福利厚生などを含めた「暮らし全体」で捉え直すと、奄美ならではの価値がはっきりと見えてきます。

ただし、住宅や交通、物価など、一企業の努力だけではどうにもできない問題もあります。 整理の中で出てきたのが、「自分たちの影響が及ぶ範囲と、及ばない範囲を切り分ける」という気づきでした。 企業が変えられることと、地域全体で取り組むべきこと。まずはそれを分けて考えることが、出発点になります。

企業ができること

  • 給与だけでなく、通勤時間や休みの取りやすさなど「暮らし全体」での条件を、求人や面接で具体的に伝える

  • 時間の使い方や働き方の柔軟さを、制度として整える

  • 副業・兼業を認めるなど、収入やキャリアの選択肢を広げる働き方を用意する

地域でできること

  • 住宅や交通など、一社では動かせない課題を、企業・行政が一緒に考える場をつくる

  • インターンなど、島で働く暮らしを実際に体験できる機会をつくる

② 関係|「人との距離が近い」は、魅力にも負担にもなる

次は「関係」です。
ここでは、ポジティブな声とネガティブな声が、まるで表裏一体でした。

「誰とでもつながれる奄美だからこそ、縁を大事にしたい」
「人との距離が近い」
「地域の人とつながりやすい」
「仕事を越えた関係が生まれやすい」

一方で、「話が合う人・同志が少ない」「噂が広まりやすい」という声も。
「人間関係が狭い」
「コミュニティに入れるか不安」
「同じ価値観や専門性を持つ仲間が少ない」
「仕事とプライベートの境界が曖昧になる」

つまり、「人との距離が近い」という同じ特徴が、人によって魅力にも、負担にもなるということです。
「奄美は人が温かいですよ」と伝えるだけでは、十分ではありません。

新しく働き始めた人が、会社の外にも居場所を持てること。
同世代、同業種、同じ興味を持つ人と出会えること。
困ったときに、会社以外にも相談できる相手がいること。

ただ、出会いのきっかけがあるだけでは足りません。整理の中では、「関係を深めていくことが難しい」という気づきも出てきました。一度きりの出会いで終わらせず、関係を育てていける場が必要です。

「いい人間関係に恵まれるかどうか」を、本人の運に任せない。地域として“つながれる仕組み”をつくる必要があります。

そしてこれは、ひとつの会社だけでは難しくても、「あまみの人事部」のような地域を横断する取り組みだからこそ、できることでもあります。

企業ができること

  • 新しく入った人が、社外のコミュニティや交流の場に参加することを後押しする

  • 社内外に相談できる先輩をつける、メンター・メンティ制度をつくる

地域でできること

  • 会社を越えて、同世代・同業種・同じ興味を持つ人が出会える場をつくる

  • 一度きりのイベントで終わらせず、継続的につながれる機会をつくる

③ 役割|「何でもやらなきゃいけない」は、「何でも挑戦できる」でもある

続いて「役割」。
ここで見えてきたのは、奄美では一人ひとりが担う役割が大きい、ということです。

都市部の大きな組織なら何人もの人で分担する仕事を、一人で幅広く担当することも珍しくありません。それは時に、「何でもやらなければならない」という負担になります。でも、見方を変えれば、「いろいろなことに挑戦できる」ということでもあります。

「自分の貢献がわかりやすい/その道の第一人者になりやすい」
「自分のこだわりを仕事に反映しやすい」
「新しいことにチャレンジできる」
「ある分野の第一人者になれる可能性がある」
「自分の仕事が会社や地域に与える影響も見えやすい」

こうした「役割の大きさ」は、奄美で働く大きな魅力になります。

ただし、それを本人の頑張りだけに委ねてしまえば、単に「仕事が多い」で終わってしまいます。

整理の中で出てきたのは、「ロール(役割)」と「ワーク(作業)」を分けて考えるという視点です。どこまでが本業なのかが曖昧なままでは、役割の大きさは負担にしか見えません。逆に、役割がはっきりしていれば、つながりや自分の貢献を実感しやすくなります。

だからこそ、会社側が描き、伝えることが欠かせません。
「この会社で、どんな役割を担えるのか」
「どんな経験ができるのか」
「その先に、どんな成長があるのか」

それだけで、「奄美で働く」の見え方は大きく変わるはずです。

企業ができること

  • 求人や面接で、担える役割・積める経験・その先の成長を具体的に描いて伝える

  • 幅広い業務を本人任せにせず、優先順位や支え方を会社として設計する

地域でできること

  • 島で役割を広げてきた先輩(ロールモデル)と出会える機会をつくる

  • 島で働く人のスキルや経験を見える化する「人材スキル図鑑」やポートフォリオをつくる

④ 意味|自分の仕事が「島の未来」につながっている

最後は「意味」です。
ここには、奄美で働くことならではの可能性が、たくさん詰まっていました。

「島民の幸せを増やせる、島の子ども達の役に立ちたい」
「母数が少ない分、一人ひとりの頑張りが未来への影響力になる」
「自分の仕事が地域に与える影響が見えやすい」
「自分たちの仕事が、島の未来や次の世代につながっている」
「地域の課題に、自分自身が直接関わることができる」

人口も組織も都市部ほど大きくないからこそ、一人の仕事が地域に与えるインパクトを実感しやすい。
これは、奄美で働くことの大きな価値です。

整理の中で出てきたのが、「奄美モデル」という言葉です。

都会の働き方や仕組みを、そのまま持ち込むのではない。奄美ならではの働き方、奄美ならではの仕事の意味を、自分たちでつくっていく。外から来る流れに任せるのではなく、島の未来を、島で働く自分たち自身が主体的に選んでいきたい。そんな想いも語られました。

奄美で働く「意味」は、都会の物差しだけでは測れません。
奄美には、奄美のモデルが必要です。

でも、それも言葉にしなければ伝わりません。

「うちの会社はこんな会社です」だけではなく、「あなたのこの仕事が、会社や島の未来とどうつながっているのか」まで伝えていく。採用するときだけではなく、働き始めてからも、その意味を実感できる機会をつくる。

それこそが、「働き続けたい」と思える会社をつくる確かな方法のひとつです。

企業ができること

  • ひとつひとつの仕事が、会社や島の未来とどうつながっているのかを、採用時にも入社後にも言葉にして伝える

地域でできること

  • 島で働く人の取り組みや想いを、地域に向けて発信する

  • 企業・行政・働く人が一緒に、「奄美モデル」の働き方を言葉にしていく

「まずできること」からはじめる

4つの「本音の山」を改めて整理して、私たちが一番大切だと感じたのは、「変えられないもの」と「変えられるもの」を分けて考えることでした。

給与水準、物価、交通、住宅…。「条件」には、一企業だけではすぐに変えられないものがたくさんあります。

だからといって、「島だから仕方がない」で終わらせる必要はありません。

関係は、つくれる。
役割は、設計できる。
意味は、伝えられる。

そして「条件」だって、すべてではなくても、働き方や制度、時間の使い方など、会社が変えられることはあります。

一社でできないことは、地域や行政と一緒に動かせばいい。 そうやって「動かせるところ」をひとつずつ見つけていくこと。それが、「働きたい島」への第一歩です。

「採用する」だけで終わらない。「働きたい島」をつくる

今回の整理を通して、私たち「あまみの人事部」がやるべきことも、はっきりと見えてきました。

「求人を出す」「応募者を集める」「企業と人をマッチングする」。もちろん、それらも大切です。でも、せっかく人が来てくれても、その人が「働き続けたい」と思えなければ、地域の人材課題は解決しません。

企業の中では、働き方や制度を見直し、その会社ならではの役割や仕事の意味を言葉にする。企業の外では、会社を越えて人と人がつながれる場所や、ロールモデルと出会える機会をつくる。そして、一企業では変えられない課題は、企業・行政・金融・教育機関など、地域のみんなで考えていく。

「人を採用する」の先にある、「ここで働きたい」「ここで働き続けたい」と思える地域をつくること。それが、「あまみの人事部」の目指すものです。

前回、たくさんのみなさんからいただいた「本音」は、これで終わりではありません。今回の整理をスタート地点にして、ここからひとつずつ、実際の取り組みに変えていきます。

「働きたい島」は、誰かがつくってくれるものではありません。企業も、働く人も、地域も。それぞれが変えられるところを、少しずつ変えていく。その積み重ねが、「働きたい島」をつくっていくはずです。

「あまみの人事部」も、その一員として本気で動いていきます。

あまみの人事部より

「うちの会社でも、働く人の本音を聞いてみたい」
「この島で、自社ならではの役割や仕事の意味を言葉にしてみたい」

そんな企業様・団体様は、お問い合わせフォームより「採用・人手不足について相談したい」を選択の上、お気軽にお問い合わせください。

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